世界の高校生らが科学の知識や技能で競う国際科学オリンピックが7月から8月にかけて行われ、渡邉明大君(奈良・東大寺学園高校3年)が第48回国際物理オリンピック(IPhO)で、髙谷悠太君(東京・開成高校3年)が第58回国際数学オリンピック(IMO)と第29回国際情報オリンピック(IOI)で世界1位になる快挙を達成した。日本人が世界一になったのは、物理と情報は初めて、数学は4人目だ。科学オリンピックの経験や魅力などを2人に語り合ってもらった。
世界一は予想外、盛り上がったり冷めたり…
――渡邉君は物理オリンピック、髙谷君は数学オリンピックと情報オリンピックの国際大会でそれぞれ世界1位の成績を収めました。おめでとうございます。
渡邉 素直にうれしかったですね。結果発表の時、今年も金メダルだったと思ったら、世界1位もついてきたといった感じです。でも、「ボルトに勝ったわけではないぞ、いい気になりすぎるなよ」という気持ちもどこかにあります。
髙谷 数学に関しては点数があまりよくなかったと思っていたので、世界1位と聞いたとき、期待していなかっただけにうれしかったですね。今までも表彰式には何度か出ていて、世界1位の人が金メダル以外にトロフィーをもらう様子を見てきました。だから今年は、特別な何かがもらえるって1人で盛り上がっていたんですが、結局何ももらえなくて急に冷めたりして……。
渡邉 勝手に盛り上がって、勝手に冷めた?
髙谷 そうそう。テンション上がった分、がっかり感が大きかった。成績が1位でも、満点がとれなかったからかなぁとかいろいろ考えたりして。でもトロフィーを渡すかは、大会を開催する運営国に任されているらしいということも聞いて、めぐりあわせが悪かったのかなぁと。本当のところはわかりませんけれど。国際情報オリンピックでは、きちんと(1位の)トロフィーももらえて、素直に喜べました。
――今年の国際大会はどうでしたか?
渡邉 物理はインドネシアでの開催でしたが、実験試験を行う日に問題が届かず翌日に延期。翌日になってさらに1時間遅れたので、計25時間遅れでスタートした前代未聞の試験でした。
髙谷 数学の問題に関しては、今年は難しかったと思います。その中で、日本の国別順位も6位だったので、みんなで頑張ったなという感じです。
――現地で印象に残ったことは?
渡邉 スロベニアの選手だったかな、ボールを持ってきた選手がいて、自由時間にみんなでサッカーをやることになったんです。最初は現地ガイドさんもダメダメと言っていたのですが、結局その時その場にいた現地の子たちと選手団でサッカーのゲームをすることになって、そういう何気ない触れ合いが楽しかったです。
髙谷 数学はブラジルでの開催だったので、決して治安が良いとは言えません。でもガイドさんとリオの街をいろいろと見られたり、ビーチで過ごせたりして自由に楽しめる時間が多くてよかったです。食事もバイキング形式なので、おいしく食べられました。
髙谷悠太君