お弁当甲子園は夏休みの課題として取り組んでいただく学校が多いため、生徒さん個々の取り組みになりがちですが、先生による事前の指導によって、作品の内容や学びの質に変化があるかもしれません。授業で学んだ事を活かし、お弁当甲子園に取り組んでいる、群馬県立高崎高等学校の家庭科・中野先生に導入方法を伺いました。
高崎高等学校・家庭科での取組み事例
1年次の家庭基礎の授業で「食」について学んだ上で、夏休みの宿題として「お弁当甲子園」に取り組むことが恒例となっています。長く続けてきた取り組みだからこそ、生徒たちは「次は自分!」と参加に意欲的です。参加したことが経験として生徒たちの心に深く刻まれるコンテストとなっています。
導入STEP 01 男子だからこそ、『食』 について学んでほしい
本校は男子校です。1年次に「家庭基礎」を履修していますが、その内容は「家族・社会との共生、衣食住の自立、消費経済、生活の創造」と多岐にわたっています。本校の生徒の多くは、「ごはんを作る」などの食の管理はもとより、衣服・家計・住居の管理などを主体的には実践できていません。その中においても、「食べること」は毎日行われる行為であり、必要不可欠なものですが、「男子」というだけで、台所に立って食事を整えるという経験があまり得られていない生徒が
多くいます。男子校だからこそ、「食」について授業の中で時数を割いて指導し、「食のジェンダー」から脱却したいと考えています。
導入STEP 02 授業から夏休みへのプロセス〜自宅時間を有効に〜
お弁当甲子園を夏休みの宿題にしていることから、応募までの取り組みは1学期の期間だけとなります。確保できる授業数がとても少ないため、食分野に限らず、それぞれの分野で「食」について考えられるようにしました。
夏休みは自宅時間が増えるので、生活の中で「食」について他人任せにしていないかを捉え直すチャンスであり、自分自身の「食」に対する意識や技術を見直し、そして家族と話すきっかけとしても有効な時間だと考えています。目標は「良い点をとること」ではなく、「力をつけること」です。
また、「お弁当に込めた想い」を文章化することで、自分自身の行動の「振り返りと再確認」ができるため、食生活のみならず、自分の「生活力」全体を考えるきっかけにもなっています。これらを踏まえ、お弁当づくりに取り組んでもらいました。
導入STEP 03 「持続可能な食生活」という視点
2学期には、お弁当甲子園に提出した写真をモニターに映し出し、クラス全員の前で難しかったところ、工夫したところを発表します。生徒は対話をしながら相互に評価し合います。生徒の多くが、「親に感謝した」、「親ってすごいと思った」と感想を話し、「また誰かのためにお弁当を作ってみたい」など、次への意欲も見られました。
保護者からも、「最近会話をしていなかったが、お弁当作りのアドバイスを求められ、息子と話す機会ができて本当に良かった」や「夕食準備を手伝ってくれるようになった」「お弁当箱を洗うようになった」「お母さんの手際のよさにびっくりしたよと言われた」などの感想が寄せられ、家族とのコミュニケーションツールにもなりました。「食べなければ生きていけない。そして生きていく中での楽しみの1つは食べることである。」私が常日頃から生徒に言い続けていることです。栄養素や調理法を学ぶことはとても重要ですが、「食」は毎日続くことであるので、もう少しおおらかに、自分にとっての「持続可能な食生活」という視点で考えてほしいと思います。お弁当甲子園を単なるイベント事として終わらせず、参加したことをきっかけとして、これからは自分の食事に責任を持ち、生涯を通して食に興味を持ってほしい。そして健康で充実した生活を送ってほしいと願っています。
高崎高等学校の受賞作品を紹介!
【優秀賞】 小松 学叶 さん 「私」へ 「勝利の腸活」弁当
私は、どうやら母親似のようだ。見た目うんぬんよりも体内がである。父は毎朝、見事なまでの快便である。しかし、私は物心ついた頃からの便秘だ。一人っ子の私と父は友達のような関係で、運動や勉強など事あるごとに競い合いコミュニケーションを取っている。くだらないとは分かっているものの健康のバロメーターである排便に関しても競い合うが、完敗である。そこで私は考えた…。父と違う物を食べる昼食(弁当)で腸内環境に差をつけよう作戦だ。水溶性食物繊維の多い十六穀米。不溶性食物繊維のきのこ、玉ねぎ。腸内の善玉菌を増やす塩こうじ。腸が変われば身体が変わる!これで父から勝利を勝ちとりたい。
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