就学前の子どもたちの笑顔も泣き顔も受け止める職業、それが幼稚園教諭と保育士だ。そんな仕事の魅力を保育士2年目の雲野諭美さん(茶々むさしせき保育園)に直撃した!
※同園では、園児も職員も「〜先生」ではなく、「〜さん」と呼ぶ。
小さな子どもが大好きで、子どもと関わる仕事を目指す
──保育士を目指した理由は?
子どもの頃から自分より小さい子が好きで、将来は子どもと関わる仕事に就きたいとずっと思っていました。小学校時代は児童館をよく利用していて、下の学年の子と遊ぶことも多かったんです。同じおもちゃで遊んでいても、年齢によってできることとできないことがあって、それを手助けしてあげて、喜んでもらえたことが原点だと思います。
将来の仕事として意識し始めたのは、中3の時に書いた卒業研究がきっかけです。当時、心理ゲームが流行っていて、その延長線で心理学をテーマにした時に発達心理学と出合いました。卒論のタイトルは『子どもの遊びと発達心理学』。参考文献を引用しながら、自分なりの考察をしたのですが、きちんと学びたくて、発達心理学を専門的に学べ、保育士と幼稚園教諭の両方の資格を取れる大学に進学しました。
──茶々むさしせき保育園を選んだ決め手は?
私が就職先を選ぶ上で譲れなかった点は、広い園庭があることと、家庭保育に近い環境で保育できること。その点、当園はランチルームがフルオープンキッチンのスタイルになっており、家庭と同じように調理する人の姿、食材が見えるんです。また、手作りのおもちゃを使って、同じ遊びを強要せず、子ども自身が好きな遊びを選べる点もよかったですね。
子どもたちの成長する姿に保育士としてのやりがいがある
──保育士としての1年目はいかがでしたか?
毎日必死です。子どものための環境作りもままならず、先輩たちのサポートのおかげで成り立つような状態でした。例えば、室内の装飾。季節の花を使うなどの細やかさは、指摘されて初めて気づきました。
──やりがいは何でしょう?
入職時からずっと1歳児の担当をしていますが、泣いてばかりでごはんを食べない子がいたんです。信頼を得られるよう好きなおもちゃを使って遊んだり、お迎え時に、「お母さんと仲良しなんだよ」とアピールするために、園併設のカフェでお母さんと会話して安心させたり。やがてその子は泣かずにごはんもおかわりするようになりました。どの子も2歳クラスに上がった今では、「ママ」としか言えなかった子たちが、私の名を呼んで走ってくるように。このように子どもたちの成長を感じたときに、保育士としてのやりがいを感じます。
──保育士を目指す高校生にメッセージをいただけますか。
ごく稀に「子どもと遊んでお金をもらえる仕事」と思っている人がいますが、保育士の仕事は、子どもの命を預かる大切な仕事で、それなりの覚悟が必要です。また、子どもとの関わりで、今日やったことが明日通じるとも限りません。そんな毎日のイレギュラーを楽しめる人にはぴったりの仕事だと思います。
なり方ガイド
幼児を対象とする幼稚園教諭と保育士。幼稚園は文部科学省が管轄する教育機関なのに対し、保育所(園)は厚生労働省が管轄する児童福祉施設だ。そのため幼稚園教諭になるためには幼稚園教諭免許が、保育士になるためには国家資格である保育士資格が必要となる。近年では幼稚園と保育所(園)の機能を合わせ持った「認定こども園」も増えており、その場合は、幼稚園教諭免許と保育士免許のダブル取得が有利になる。
幼児の保育と同時に保護者のケアや指導も重要な仕事のひとつとなる幼稚園、保育園の先生。そのため一般教養やコミュニケーション能力、また、最近では外国人保護者も増加していることから異文化理解能力も求められる場合が多い。