「きちんと睡眠をとっているに疲れが抜けない」「なかなか寝付けない」。このような睡眠の悩みを抱える高校生は多い。眠りや寝具に関する専門的な知識を持つ、寝具メーカー・西川の森優奈さんに、睡眠の質を高めるアドバイスをもらった。(中田宗孝)

Q.寝起きが悪くて毎朝すっきり目覚められません。二度寝もよくしてしまいます。

A.睡眠の質をあげる生活習慣を始めよう。

「朝なかなか起きられない」といった悩みがある方は、睡眠の質を上げることから始めてみましょう。睡眠の質を高めることで、部活で良いパフォーマンスを発揮できたり、記憶を整理できたりと学力の向上にも繋がるので、とても大切です。

睡眠で心と体のメンテナンスができる

まずは、睡眠で得られる効果をお伝えします。一つ目は「食欲をコントロールしてくれる」こと。食欲を増進するホルモン「グレリン」の分泌量を減少させ、食欲を抑える「レプチン」の分泌量を増加させます。睡眠不足が続くとホルモンバランスが乱れ、過食に繋がり、太りやすくなります。

二つ目は「心(メンタル)のバランスを整えてくれる」こと。ストレスを緩和させる働きが睡眠にはあります。長時間起きているとイライラすることもあると思いますが、眠ることでメンタルバランスを整えてくれます。三つめは「身体のメンテナンスを行える」こと。寝ている時間に成長ホルモンが出て骨密度を増やしたり、シワを減らして皮膚のハリを保ったりするといった老化予防の働きもあります。

 

最後は「眠ることで集中力、注意力を保つことができる」こと。睡眠をしっかりとることで、その日に経験したこと、日中の授業で覚えたことなどを頭の中で整理し、記憶として定着させてくれます。一方、睡眠不足だと記憶が定着しにくいのです。

 

寝る2~3時間前までに夕食を

これらを踏まえて質の良い睡眠を実践するには、まずは寝るまでの過ごし方を気に留める必要があります。最初は食事の摂り方です。夕食は就寝の2~3時間前までに済ませましょう。眠る直前に食事してしまうと、食事を消化させるために胃腸が活発に動いてしまい、身体は眠ることよりも内臓の動きの方に力を使ってしまいます。

40度の湯船につかって温めよう

次に入浴です。約40℃の湯船につかり、身体の深部まで温めましょう。お風呂あがり後も身体を冷やさないように過ごしてください。弊社では、入浴後から就寝までを「あたためゴールデンタイム」と呼んでいます。入浴後に軽くストレッチをして血行を良くすると、身体の全身に酸素と栄養素がいきわたります。眠る直前になると身体の放熱が始まり、心地よく眠りに入ることができます。

森優奈さん(西川)

 

西川・日本睡眠科学研究所認定のスリープマスター。寝具選びのコンサルティング、快適な睡眠環境づくりのアドバイスを行う。眠りについての情報発信を行い、テレビ・雑誌・新聞などの取材対応を含む広報を担当する。