全国高校総体(インターハイ)陸上の男子800メートル決勝が2019年8月7日に沖縄県沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムで行われ、高校記録(1分46秒59)保持者で前回王者のクレイ・アーロン竜波(神奈川・相洋3年)が1分50秒24で優勝。28年ぶり7回目となる連覇を達成した。(文・小野哲史、写真・幡原裕治)

「残り300メートルで切り替え」予定通り

インターハイ陸上男子800mで優勝したクレイ・アーロン竜波(中央)

スタート直前、突如として雨脚が強くなった。強風も吹いていた。だが、クレイは「風は好きではないけれど、気象条件はみんな同じ。あまり気にせず行こう」と、前だけを見てスタートの合図を待った。

どんなレース展開になっても対応できる準備はできていたという。「誰も出てこなかったら自分のペースで行き、誰かが出てきたらついて行こうと思っていました」。結果的には石井優吉(千葉・八千代松陰2年)が序盤からレースを引っ張る形となり、その背後にピタリとつきながら石井を「強いなぁ」と感じていた。

しかし、予定通りに「残り300メートルから切り替えて」ライバルたちを振り切り、地力の違いを見せつけたクレイ。日本陸連が認定するダイヤモンドアスリートであり、6月の日本選手権を高校生で初めて制した強さは伊達ではなかった。とはいえ、競技への向き合い方は日本選手権前と何ら変わっていないという。変えなかった、という方が正確かもしれない。「上ばかりを見ず、今まで通りやっていくことが大切」と考え、高校生らしさを失うことなく、自分の足元をしっかり見ながら取り組んできた。