全国高校総体(インターハイ)陸上の女子400メートル障害決勝が2019年8月6日に沖縄県沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムで行われ、準決勝を全体トップの自己ベスト(58秒74)で通過した津川瑠衣(東京・八王子3年)が、決勝でも高校歴代6位となる58秒14とさらに記録を伸ばして優勝した。(文・小野哲史、写真・幡原裕治)
痛みとの闘い、「気持ちで乗り切るしか」腹くくり
これまで大きな大会となると、「優勝できそうな時でも最後の方のハードルでつっかえたりして、6位とか7位で終わることが多かった」という。前回のインターハイも同じ学年の選手たちが上位に入る中、津川は7位だった。「中途半端な自分が嫌で、今年こそはそこから脱したいと思って頑張りました」
今季に向けた冬季練習の頃から原因不明の両足首の痛みに苦しんできた。6月の南関東大会の時期に痛みがピークに達したが、「突破を最優先に考えて」3位で通過。インターハイ前に痛みはだいぶ引いていた。ただ、7位に入賞した初日の400メートルで3本、そして400メートル障害の予選、準決勝と本数を重ねるうちに再び足に違和感を覚えていた。「400メートルが終わってからは、トレーナーさんに診てもらったり、水風呂で交代浴をやったりしてケアを心掛け、寝る前には神頼みをしました」と津川。あとは「もう気持ちで乗り切るしかない」と腹をくくった。
「みんなに食らいつく」攻めの走り
決勝レースで意識したのは、渡辺大輔先生からの「準決勝の走りを崩した者は絶対に勝てない。準決勝の走りの質を上げれば大丈夫だ」という言葉と序盤の走りだ。「自分の欠点は、いつも前半が飛ばせなくて、そこで遅れてしまうことなので、少しでもみんなに食らいついて行こう」。ハードル間の歩数はいつもと変えなかったが、攻めるつもりで積極的に入った。「最後のカーブの真ん中へんで気持ちよく走れていて、自分のペースのまま(前にいた選手を)抜かせていったので、そこで慌てずに冷静さを保てたことが良かったと思います」
自己ベストは、大会前の59秒41から1秒27も短縮した。にもかかわらず、「優勝できたことはうれしいけれど、去年から『来年は高校新記録を出したい』と思っていたので、タイムに関しては悔しさがあります」と、津川は勝ってなお貪欲な向上心をのぞかせた。