中学生、高校生を対象に武蔵野大学工学部数理工学科が募集する「数理工学コンテスト」。第5回となった今回は、全国から215作品の応募があり、そのうち13作品が入賞を果たした。

次代を担う中学生・高校生たちが栄えある受賞

数理工学の普及や数理工学教育の推進に貢献することを目的に開催されている「数理工学コンテスト」。今回は全国の中学校・高校から過去最多の215作品の応募があった。作品は、物理や化学、生物などの自然科学分野をはじめ、日常的な統計やシミュレーションなど、分野は多岐にわたり、中高生らしいアイデアが盛り込まれた研究が多かったことが印象的。そのなかで、最優秀賞1作品、優秀賞3作品、奨励賞3作品、選考委員賞4作品、ジュニア奨励賞2作品の計13作品が選ばれた。3月23日(土)には、武蔵野大学有明キャンパスにて授賞式を開催。受賞者、選考委員が一同に集まり、表彰および選考委員による入賞作品の講評が行われた。

全員表彰
入賞した13作品について、ひとつひとつ選考委員による講評が行われた(写真は西川哲夫教授)

選考委員評

武蔵野大学工学部数理工学科
 教授 西川哲夫

全体的にレベルが高くなった

今回も全国から作品が寄せられ、第5回となり数理工学についての理解も広がってきたのか、全体的にレベルが高くなった。

作品のテーマ設定や検証方法についても実に多様だった。全体的には統計解析の研究が多かったが、物理や数学的なテーマだけではなく、オリンピック関連の時流に乗ったテーマもあれば、日常的な視点から生まれたテーマ、実用とはかけ離れているが発想がユニークで面白いものもあり、本コンテストの過去の授賞作品の内容を引き継いでさらに発展させたテーマも見られた。研究手法もモデル化と統計データを駆使した高度なものが多かった。

中学、高校で学んでいる数学・情報の知識が、実社会の幅広い分野で活かされる可能性を知って、これからももっと学び続けて欲しい。

最優秀賞

愛媛県立吉田高等学校「吉田高校 物理愛好会」

◆研究タイトル

あら樫の実(どんぐり)の転がり方についての研究

◆研究の内容

 171個のどんぐりと40個のビー玉を用いて、転がし始める速さ、落下させる高さ、転がし始める向きを変えて実験し、転がり始めから50cm進んだ地点が直進した場合よりどれだけ曲がっているかを調査。度数分布表、グラフを描き、考察しました。

◆研究のきっかけ

童謡の「どんぐりころころ」にあるどんぐり類は、重力散布で種子を拡散し、子孫を残します。地上に落ちてより遠くまで転がるためには球形が最も適していると考えられますが、どんぐりは球形ではなく先の尖った形をしています。「どんぐりは進化の過程でなぜ紡錘形を選んだか」に興味を持ったのがこの研究をするきっかけでした。

◆研究の感想

思い通りの結果が出たり、予想しなかった結果が出たりと、実験することの面白さを実感しました。自然のものを対象にした実験で、正規分布曲線に近いグラフができたときには本当に驚き、感動しました。この研究での経験を今後も活かしていきたいです。

 

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