全国から選ばれた文化部の高校生が集う第42回全国高校総合文化祭「2018信州総文祭」が8月7日から5日間、長野県内で行われた。28部門に全国約2万人の生徒が参加。演劇、郷土芸能、日本音楽の上位入賞校は、8月25、26の両日、国立劇場(東京)で「優秀校東京公演」を行った。(文・写真 中田宗孝、幡原裕治)
日本音楽部門で最優秀賞(文部科学大臣賞)に輝いた東海南高校(愛知)邦楽部。最優秀賞の受賞は、全国高総文祭28回目の出場で初となった。
演奏曲「絃歌(げんか)」は、1月から朝練を含む週6日の練習で完成度を高めてきた。楽曲中盤には3人の奏者による、悲しく切ない音色を響かせる独奏がある。「このパートでは、部活引退が迫る私たち3年生の切ない気持ちを音で表現しています」(部長の安藤怜南さん・3年)。
部長の涙 部員の思い、一つにまとめた
演奏中に、糸(絃)を支える「柱(じ)」を外して、箏の面に糸をあてて激しい音を奏でる「バルトーク」と呼ばれる奏法でも観客を魅力した。
本番までには大きな試練があった。昨年11月の県大会前、安藤さんは部員の中でやる気の差があることに危機感をおぼえた。そこで、話し合いの場を設けて「私は全国大会に行きたいし、全国でも1位が取りたい!」と、涙ながらに仲間に訴えかけた。「部長からは、部活が大好き、お箏が大好きな思いがすごく伝わってくるんです。大会にかける部長の本気度を感じて、そこで部が一つにまとまりました」(副部長の明壁沙弓さん・3年)。2人は「(本番では)大好きな仲間たちと楽しんで演奏できました」と笑う。