全国高校総体(インターハイ)陸上の女子1600メートルリレー決勝が8月6日に三重交通Gスポーツの杜伊勢陸上競技場で行われ、相洋(神奈川)が3分40秒99の好タイムをマーク。この種目としては7年ぶり2度目の優勝を果たし、東大阪大敬愛(大阪)の大会5連覇を阻止した。(文・小野哲史、写真・幡原裕治)
ライバルの存在、練習から常に意識
インターハイでは2001年大会から正式種目となった女子1600メートルリレー。昨年までの17回で実に9度の優勝を誇るのが、東大阪大敬愛(大阪)だった。2014年からは4連覇中で、今大会は2006~10年以来となる2度目の5連覇を目指していた。
そんな「女王」に対し、相洋も並々ならぬ決意でこの1年を過ごしてきた。前回は2位ながら3秒以上の差をつけられて完敗。髙島菜都美(3年)、合田陽菜(3年)、髙島咲季(2年)と、そのときのメンバーが多く残っていることも、雪辱の思いをより一層強いものにしていたようだ。合田は言う。
「自分たちの心の中には、マイル(1600メートルリレー)の決勝が一番大事なレースという思いがあります。だから練習で走っているときも、最後に後ろから迫って来たときにどうするか、先行されているときにどうするかなど、常にライバルの存在を意識していました」
髙島菜は「個人で頑張るのは自分が良い思いをしたいからではなく、マイルで日本一になるため」と言い切る。その「フォア・ザ・チーム」の姿勢が個々のレベルを引き上げ、個人の女子400メートルでの髙島咲の優勝、髙島菜の5位入賞につながった。
女王とのデッドヒート、アンカー勝負で制す
決勝は下馬評通り、今季ランキング1位の相洋と2位・東大阪敬愛との一騎打ちとなった。髙島菜が「プレッシャーも感じたけれど、みんなからの応援を味方につけて走ろう」と1走として流れを作ると、合田、金子ひとみ(2年)の2走と3走は東大阪大敬愛と抜きつ抜かれつのデッドヒートを演じた。金子は「前半が課題だったのですが、しっかりと前についていくことができ、最後は自分の走りができました」と胸を張る。
最後はエースの髙島咲が400メートル覇者、そして6月の日本選手権同種目5位の意地を見せ、東大阪大敬愛とのアンカー勝負を制した。
「1年前から日本一だけを狙ってきたので、優勝したら泣いてしまうかもしれないと思っていましたが、うれしすぎて涙も出ないくらいです。私自身はアンカーを任されるようになってから責任感を持って走ったし、リレーですからチーム力も大切にしながら1人1人が強くなっていけたのが勝因かなと。個人種目の優勝もうれしかったですが、メンバーの4人、また相洋のチーム全体で喜べるので、リレーの優勝の方がうれしいです」(髙島咲)
走ったのはバトンをつないだ4人だった。しかし、そのバトンには「日本一になる」という全部員の思いや周囲の人たちの期待が込められていたのかもしれない。髙島菜の「達成感と、応援してくださった方への感謝。その2つの気持ちでいっぱいです」という言葉がそれを如実に表している。