陸上競技でインターハイ史に名を刻もうとしているヒロイン候補がいる。昨年、女子走り幅跳びでインターハイ2連覇を達成し、今季は6月のアジアジュニア選手権で高校日本記録に並ぶ6メートル44を跳んで優勝した高良彩花(兵庫・園田学園3年)だ。「高校新記録を跳んでインターハイ3連覇」の偉業に挑む。(文・写真 中尾義理)
重圧なく「楽しく競技」
高良は中学3年時、全国中学大会で優勝。高校でも勢いは止まらず、インターハイを2連覇し、昨年は日本選手権の同種目で6メートル14を跳び、高校生としては23年ぶりに優勝した。秋には国体とU18日本選手権も制して「全国4冠」に輝いた。
高校2年生にして手にした日本選手権のタイトルは、重圧になったに違いないが、高良は「最初はプレッシャーを感じていましたが、チームメートのおかげで練習も試合も楽しく競技ができています」と屈託がない。
今季のシーズンイン時点で自己最高記録は6メートル26だったが、6月のアジアジュニア選手権で、中野瞳(兵庫・長田高卒)が2007年に樹立した高校記録に並ぶ6メートル44を跳んで金メダルを獲得した。国際大会で勲章をつかみ、昨年を上回る勢いで輝きを放っている。
小柄な体で「速い跳躍」
身長157センチと小柄だが、1歩目から強く踏み込む助走と「バンッ」と大きな音を立てて踏み切り板から跳び出す「速い跳躍」が持ち味だ。
高い走力がそれを支える。高良は100メートル障害でも高校トップクラスの目安となる13秒台の記録を持ち、冬季の練習では「60メートル走のタイムが7秒8~9から、7秒6~7になりました」と、基礎スピードの向上も実感している。
日本選手権を2連覇
インターハイ出場を懸けた近畿地区予選では、6メートル05で順当勝ち。100メートル障害では自己最高記録を13秒97から13秒79に更新。5日後の日本選手権女子走り幅跳びでは6メートル22を跳んで2連覇を飾った。
今季が始まる前の目標は、園田学園の先輩である馬場貴子が1999年に樹立したインターハイの大会記録6メートル33を超えることと、高校記録の更新だった。数字の上ではすでに、馬場の記録を超え、中野にも追い付いた。
「両方超えたらどうするの?」と尋ねると「6メートル50を跳びたいです」と、さらに遠くへ視線を向ける。
インターハイ前には、U20世界選手権(7月10~15日・フィンランド)の日本代表として世界の同世代と競った。
今季も絶好調の高良だが、慢心はない。「高校新記録を跳んで3連覇」に挑むチャレンジャーだからだ。インターハイの歴史に残る伝説の跳躍を目指す。
- 【こうら・あやか 】
- 2001年3月22日生まれ。兵庫県出身。西宮浜中卒。高校2年時に日本選手権、インターハイ、国体、U18日本選手権を制し、走り幅跳びの「年間4冠」を達成。自己ベストは6メートル44。157センチ、43キロ。