国が進める大学入試改革により大学入試センター試験が廃止され、2020年度(2021年1月)から新たな共通試験「大学入学共通テスト」が導入されるが、移行1年目に浪人生向けの別の問題を作成するなどの配慮はしない方針を大学入試センターが明らかにした。新テストは現高校1年生が主対象だが、高校2年生も浪人した場合、新タイプの問題への対策が必要になりそうだ。
これまで学習指導要領の改訂により高校の学習内容が変わる移行時期のセンター試験では、新課程で学んだ現役生と旧課程で学んだ浪人生の双方が受験するため、旧課程の学修内容で解ける選択問題を浪人生向けに出題するなどの経過措置がとられてきた。一方、2020年度からの新テストは、教育課程には変更がなく、テストの出題内容が大幅に変わるため、浪人生への対応の有無が注目されていた。
大学入試センターは6月18日、高校・大学向けに現時点の問題作成の方向性などを説明する文書をまとめた。その中で「現行の高等学習指導要領に基づく学習範囲の中から問題が作成されるという点については、2019年度までと変更はないことから、過年度卒業者用の別の問題は作成しない方向で検討しています」と明記した。現役生、浪人生とも同じ問題を出題する方針を示したものだ。
新テストは、「知識の理解の質を問う問題や、思考力、判断力、表現力を発揮して解くことが求められる問題を重視する」(大学入試センター)方針で、国語・数学で記述式を導入するほか、各教科で場面設定を重視したり、複数の資料を読み解かせたりする問題が増える。2020年度にあわせて個別入試の方式や出題方針を変更する大学も少なくないとみられる。浪人した場合、出題の基となる教科書に変更はないものの、新たに新テスト用の勉強が必要になりそうだ。