国立大学協会(国大協)は3月8日に総会を開き、新高校1年生から対象となる2020年度からの大学入試の対応への指針の案について大筋で合意した。焦点となっていた英語4技能を測る民間の資格・検定試験の利用方法については、2つの方法を示して各大学・学部が選べるようにした。4月以降に正式に決める予定だが、異論も出ており、また配点をどうするかなど未確定事項もなお残っている。(西健太郎)
新大学入試の英語について、文部科学省はセンター試験の後継となる大学入学共通テストを実施するともに、英語4技能(読む・聞く・話す・書く)を測る民間の英語資格・検定試験の中からセンターが認定した試験を受験生に受けてもらい、入学者選抜に利用する仕組みを構築する方針を決めている。共通テストの英語試験は20~23年度は実施したうえで打ち切る考えだ。民間試験の利用方法は各大学に委ねられており、国立大学は一致した対応をすることを目指して話し合いを続けている。
「出願要件」「加点」の2案、組み合わせも
8日の総会では、国大協の入試委員会が指針の案を示した。英語民間試験の利用について、センターが認定するすべての資格・検定試験を対象とすることで国立大が足並みをそろえるとしたうえで、(1)一定水準以上の成績をとることを出願要件とする(2)新テストの英語試験の得点に加算するという2つの方法を示した。2つを組み合わせることも可能とし、各大学・学部がどの方法を利用するかを決める。民間試験ごとに試験内容が異なるため、英語の試験の国際的な共通尺度であるCEFRに基づいて加点方法を決めるという。
東大総長は異論「公平・公正か」
総会ではこの方針が大筋で了承されたものの、東京大の五神真総長が「英語4技能は重要だが、民間試験の導入は公平・公正なのか。当事者である生徒に不安を抱かせることは絶対にしてはいけない」などと発言し、合否判定に民間試験を利用することに異論を唱え、方針案の修正を求めた。
配点の方針、大学間で意見割れる
また、入試委員会副委員長の三村信男副委員長(茨城大学長)によると、民間試験の結果に基づき加点する場合の配点の範囲の指針を定めることについて各大学の意見が分かれているといい、この日の総会では配点の指針の案は示さなかった。
そのため、国大協では各大学の意見をさらに聞いたうえで、4月以降に正式に方針を決める。入試委員会副委員長の三村副委員長は「高校で英語4技能を学ぶインセンティブ(動機づけ)にする必要があるが、1年生から認定試験向けの勉強をしないといけないなど高校教育が全く変わってしまうということは避けなければいけない。(配点の)バランスが大切」と話している。各大学は今年夏にも新大学入試への対応方針を決める必要があり、国大協は方針の決定を急ぐ考えだ。