東京・香蘭女学校高等科図書委員会に
女子高校生が主人公の本を選んでもらいました。(価格は税込み)
蹴りたい背中
綿矢りさ著(河出文庫、410円)
◆自分の気持ちに戸惑う青春
クラスの余り者の長谷川初実とにな川。初実はある日、にな川の読んでいる雑誌の女性モデルに会ったことがあるとこぼすと、それを聞いたにな川に部屋へ招待される。彼は、そのモデルの熱狂的なファンだった。さらに、にな川のコレクションの中のある写真を見つけた初実は、思わずにな川の背中を蹴ってしまう。自分の気持ちに戸惑い、それぞれの〝潔癖〟な青春時代を過ごす少年少女の物語。(S.U 2年)
そして誰もいなくなる
今邑彩著(中公文庫、843円)
◆裁かれるべきは誰か
アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」を学校の記念祭で上演中、服毒死する役の女子生徒が実際に舞台上で死んだことが発端となって事件が起こっていく。一見、連続殺人事件のように思えるが、いろいろなことが絡み合う面白さがあり、一気に読まずにはいられない。裁かれることのない罪とどう向き合うかも重要な鍵となっている。(M.T 2年)
ありふれた風景画
あさのあつこ著(文春文庫、545円)
◆本当の私って?
高校2年生の琉璃は、あるうわさのせいで他人と関わることを拒否していた。そんな時、容姿端麗で特殊な能力があるとうわさされている高校3年生の周子と出会う。学校には居場所がなかった2人はすぐに意気投合し、やがてその関係は友人を超えるものに発展していく。「10代は人生の中で最も残酷だが、最も美しい年代」ということに気付かせてくれる本だ。(R.E 1年)
いとみち
越谷オサム著(新潮文庫、680円)
◆人見知り克服でメイドに挑戦
青森の高校に通う16歳の相馬いとは極度の人見知り。治すために始めたアルバイト先はメイドカフェだった。濃厚な津軽弁のためにあいさつも上手に言えず苦労続きだったが、仲間に支えられ、少しずつ成長していく。思春期の繊細な感情が丁寧に描写されていて、共感できる本だ。(K.K 1年)
モナミは世界を終わらせる?
はやみねかおる著(角川文庫、562円)
◆ドジっ子が世界を導く
普通というにはドジすぎる女子高校生、真野萌奈美。通称「モナミ」の日々は、ある男の出現で一変する。男の話によると、学校で起きた出来事が世界の大事件になってしまうという。命を狙われるモナミだが、あきれるほどにトンチンカンなことばかりする。そんな彼女が世界の命運を握っている……かもしれない。ユーモアたっぷりの学園ファンタジー小説。(T.H 2年)