中高生プログラマーによるスマートフォン向けアプリケーション開発コンテスト「アプリ甲子園2016」決勝大会(D2C主催)が10月23日に開催された。認知症の人の介護者を支援するアプリ「Find Family」を開発した大渕雄生君(東京・開成高校2年)が優勝した。(中田宗孝)
同大会は今年で6回目。1千数百件の応募作品から10組が決勝大会に出場し、機能性やデザイン、技術、ユーザーに支持されるかなどの観点から審査を受けた。
「Find Family」は、GPS機能を内臓した靴の位置情報をスマートフォンに知らせる。モノとインターネットをつなぐ「IoT」ツールだ。認知症の曽祖父を介護する祖母の苦労を間近で見ていた大渕君は、「祖母の手助けをしたい」と思いたち、約1年かけて開発した。日常の出来事を忘れてしまう曽祖父が外出の際に靴を履く行為は覚えていたことから、靴に通信機器を組み込むアイデアが浮かんだ。
アプリには、最後に靴を履いた日時や、設定した場所から一定の距離を離れると通知するシステムも搭載。介護者の負担を軽減させる仕組みだ。徘徊した場合、アプリから靴を光らせ、周囲の人に認知症であることを知らせる機能も備えた。審査員からは、作品の完成度だけではなく、高齢社会に配慮した実用性の高さが評価された。
昨年の「アプリ甲子園」でも3位を受賞した大渕君だったが、「嬉しい半面、悔しさもあった」。今年は念願の優勝。「大学入学後には改良を重ね、このアプリを商品化したい」と、目標を語った。
結果は次の通り
▽優勝「Find Family」大渕雄生君(東京・開成高校2年)
▽準優勝「Which is the Floor?」西村太雅君(埼玉・立教新座高校1年)
▽3位「DotResonance」矢鋪明司君 (N高校2年)
▽技術賞「VR絵本メーカー」木村皓子さん(東京・慶應義塾女子高校3年)
特別企業賞
▽セガゲームス賞「VR絵本メーカー」木村皓子さん
▽パワーハウス賞「Photton」大屋彩乃さん(東京・青山学院高等部1年)
▽電通アイソバー賞「言い訳メーカー」森本くるみさん(東京・青山学院高等部3年)