世界各国の代表生徒がアルゴリズムの設計など数理情報科学の問題解決能力を競う「第29回国際情報オリンピック」(IOI2017)が7月28日からイランのテヘランで開かれ、8月3日、成績が発表された。文部科学省と情報オリンピック日本委員会によると、日本代表の高校生4人が金メダル3個、銀メダル1個を獲得した。髙谷悠太君(東京・開成高校3年)が4年連続となる金メダルを獲得したのに加え、世界1位の成績に輝く快挙。4位と5位にも日本選手が入った。髙谷君は7月の国際数学オリンピックでも世界一の成績をあげており、日本代表初の「ダブル世界一」だ。
世界84カ国・地域の308人参加、アルゴリズム設計競う
今大会には、世界84カ国・地域の代表308人が参加。競技は個人戦で、高校生以下に参加資格がある。参加者は、与えられた課題を解決するための速く、効率的なアルゴリズムを考え出し、それに基づいて正しく動くプログラムを書いてコンピュータ上で実行させる。プログラムの実行時間と使用メモリー量に厳しい制限がある中で、より多くの入力を処理できるほど高得点が与えられるという。競技は2日間にわたり、1日5時間ずつ3問、合計6問を解く。問題は実社会の課題を模しており、数理的な問題解決能力が問われるという。
1・4・5位が日本選手
金メダルは参加者の約8%、銀メダルは約17%、銅メダルは約25%に与えられる(今回は金26人、銀52人、銅78人)。金メダルをとったのは髙谷君と、川﨑理玖君(東京・筑波大学附属駒場高校3年)、河原井啓君(同校3年)の3人。総得点で髙谷君が1位、川崎君が4位、河原井君が5位に入った。坂部圭哉君(愛知・海陽中等教育学校6年=高校3年相当)が銀メダルを獲得した。大会は個人戦だが、国ごとの代表選手の合計点数でも、日本は1位という。
髙谷君は4年連続金メダル、数学と合わせメダル7つ目
髙谷君は、開成中学3年生だった2014年から4年連続で日本代表に選ばれており、いずも金メダルを獲得。今回、600点満点中589.52点という高得点をあげ、2位を大きく離して世界1位を達成した。大会前の取材には「情報オリンピックは、毎回問題が違って面白い。順位は一つでも上の方がいい」と話し、「世界一」に意欲を見せていた。髙谷君は、国際数学オリンピックでも15年に銀、16年と今年金メダルに輝いており、今年は世界1位の成績をあげていた。数学と情報で「世界一」を達成するとともに、国際科学オリンピックで通算7個目のメダル獲得となった。
金メダルの川﨑君は昨年の銀メダルに続く、2個目のメダル獲得。銀メダルの坂部君は、昨年と今年の国際化学オリンピック、昨年の国際地学オリンピックでも金メダルをとっており、国際科学オリンピックでの通算4個目のメダルだ。
来年はつくば市で開催
日本代表は、国内大会「日本情報オリンピック」の成績優秀者から選ばれる。日本代表は1994年から3年間派遣された後、中断を経て2006年から毎年4人ずつ派遣されている。国際情報オリンピックは1989年から各国持ち回りで開かれている。2018年9月の第30回国際情報オリンピックは茨城県つくば市で開催される。その国内予選は12月10日に実施、10月2日から参加申し込みを受け付ける。