インターハイ陸上男子100mで2連覇を果たした宮本大輔

全国高校総体(インターハイ)陸上の男子100メートル決勝が7月30日にNDソフトスタジアム山形(山形県天童市)で行われ、宮本大輔(京都・洛南3年)が10秒51(向かい風2.0メートル)で優勝し、2連覇を成し遂げた。(文・小野哲史、写真・幡原裕治)

近畿大会では先輩・桐生に迫る記録

2年生でインターハイ王者となった宮本は、今季に入ってさらに凄みを増している。高校生年代としては圧倒的なタイムが、それを如実に物語る。京都府大会は追い風参考ながら10秒22。近畿大会では高校歴代3位タイとなる10秒23(追い風0.6メートル)をマークし、洛南の先輩である桐生祥秀(東洋大)が4年前に打ち立てた大会記録(10秒19)も視野に入っていた。

宮本も「スタートのスピードに磨きがかかって、去年以上に絶対的なスピードがついた」と、自身の成長を実感している。この日も予選と準決勝は危なげなく通過。次ラウンド進出を確信した途端にスピードを緩め、いわゆる「流す」走りに切り替えても、ライバルたちを軽く置き去りにした。「楽な感じで走る、という狙い通りのレースができました」

プレッシャーはねのけ淡々と

好記録が期待された決勝は、あいにくの向かい風だった。宮本は「(桐生がよく言われるのと同じように)僕も結構、『向かい風運』を持っているので」と笑ったが、「勝つことが大事」と自分の走りに徹した。号砲の直後、わずか5歩ほどでスーッと抜け出した宮本は「そこで勝てたと思った。決勝では得意な部分をしっかり出せた」と話す。すぐ左隣のレーンでは、塚本ジャスティン惇平(東京・城西2年)が中盤以降、必死に食らいついてきたが、「焦りはなかった」と冷静さを失うことなく、最後までリードを守り切った。

予選や準決勝はもちろん、決勝レースで勝った後も飄々と、あるいは淡々としていた宮本。見えない部分では連覇がかかるプレッシャーを抱えてはいたが、意識的に気にしないことではねのけたという。それは中学記録保持者となり、周囲からの注目度が高まる中で自然と培った知恵だったのかもしれない。

いずれにしても、史上2人目となる100メートル、200メートル、両リレーの「4冠」達成を目指す宮本にとって、この100メートル連覇でさえも一つの通過点に過ぎない。

インターハイ陸上男子100mで2連覇を果たした宮本大輔