インターハイ陸上男子400mを制した森周志

全国高校総体(インターハイ)陸上の男子400メートル決勝が7月29日にNDソフトスタジアム山形(山形県天童市)で行われ、森周志(北海道・北海道栄2年)が47秒50の自己ベストをマークし、初の栄冠を手にした。(文・小野哲史、写真・幡原裕治)

「伏兵」2年生が波乱のレースを制す

優勝候補筆頭だった花田シオン(千葉・東海大浦安3年)が150メートルあたりで肉離れによる無念のリタイア。本命不在となった波乱のレースを制したのは、大会前のランキングでトップ10にも入っていなかった「伏兵」の森だった。

6月の北海道大会では200メートルと400メートル、リレー2種目と合わせて「4冠」に輝いた。しかし、森は必要以上に意気込みすぎることもなく、「目標は入賞でした。(予選から)ちょっとずつ上げていけば、狙えないこともない」と、あくまでも冷静に自身のターゲットを見据えていた。ただ、予選と準決勝を終えて、森には確かな手応えがあったという。

「予選は雨が降っている中でも良いタイム(48秒00)でしたし、準決勝は気温が上がってきましたが、暑さに弱い部分はうまく乗り越えられました。それで調子は良いなと感じることができました」

「先手必勝」走り抜けた

準決勝を全体の3番目のタイム(47秒45)で突破したことで、森の中に「あわよくば優勝を」という気持ちが無意識のうちに芽生えたのかもしれない。決勝では、予選や準決勝では見せなかった「攻めるレース」を存分に披露した。

「いつもは300メートルのカーブに入るとき、少しスピードを緩めて他の選手の出方をうかがうんです。でも、(決勝で)勝つには人の出方をうかがっているよりも先手必勝だと思い、最初から飛ばしてそのまま走り抜けようと頑張りました」

レース中盤で花田の異変を察知したときも、「自分のレースに集中するだけ」とブレることはなかった。ゴール後、報道陣に囲まれた森は、「まさか勝てるとは思いませんでした」と、やや放心状態の面持ちで「まさか」を連発。自身も驚くビッグタイトルとなった。

「2年生で優勝できたのは今後の自信にもつながります。これからは国体や日本ユース選手権などに出場すると思うので、そこでまた優勝できるようにしたいです」

ようやく落ち着きを取り戻した森は、直後に出場する4×100メートルリレーの準備のために仲間のもとへ急いでいった。

インターハイ陸上男子400mを制した森周志