全国高校総体(インターハイ)陸上の女子走り高跳び決勝が7月29日にNDソフトスタジアム山形(山形県天童市)で行われ、高橋渚(東京・東京3年)が今季高校最高となる1メートル77の自己新で初優勝に輝いた。(文・小野哲史、写真・幡原裕治)
自己記録更新、勝ち取った優勝
決勝に進出した12人中、1・2年生が7人。今大会は勢いのある下級生が多く、最後に一騎打ちとなった相手も、2年生の樋口愛莉(福岡・中村学園女)だったが、「自分の跳躍に集中した」という高橋が結果的に最上級生の意地を見せつけた。
「体の調子もよく、気持ちもワクワクして今日を迎えました」
そう振り返るように、小雨が降る中で行われた午前の予選から絶好調。1メートル65から始まった決勝でも1メートル74までの4本をいずれも1回目で成功させ、早くも2位以上を確定させた。
1メートル77は樋口と高橋がともに2回失敗。その後、樋口が3回目を失敗した時点で高橋の優勝は決まったが、高橋はそれでよしとしなかった。日頃から指導を受ける男子走り高跳び日本記録保持者の醍醐直幸コーチから「(他の選手の失敗で決まる優勝ではなく、自分が跳んで)勝ち取った優勝にしよう」と言われたからだ。自身も「(1メートル75の)自己記録を更新して終えよう」と改めて気を引き締め、1メートル77を3回目で見事にクリアした。
大学でも競技続け「トップに食い込む」
中学3年の時、借り出されて出場した陸上の大会で優勝。そこで声をかけられて東京高校の練習を見学に行き、「醍醐先生の指導を受けたい」と高校から本格的に競技を始めた。高校2年次に競技歴1年余りでインターハイに出場したが、1メートル66で予選落ち。それ以降も地道に努力を重ねながら力をつけてきた。
高橋はこの1年間の成長を「全国大会にも何度か出させてもらって、安定感が増してきた」と感じている。昨年10月の日本ユースで3位。今年6月の日本選手権では、出場した高校生5人の中で最上位の7位に入った。最後のインターハイとなった今大会は「勝ちにこだわった」と並々ならぬ決意で臨んだ。
「大学でも競技を続けたい。早く1メートル80を跳んで、トップに食い込んでいけるような選手になれるように頑張りたいです」
日本一という勲章を手にしても、高橋は貪欲に、さらなる記録更新と自身の成長を口にしていた。