全国高校総体(インターハイ)陸上の女子400メートル決勝が7月29日にNDソフトスタジアム山形(山形県天童市)で行われ、川田朱夏(大阪・東大阪大敬愛3年)が53秒92の好タイムで優勝した。(文・小野哲史、写真・幡原裕治)
プレッシャーはなかった
5月の大阪府大会で高校歴代7位タイとなる53秒59をマーク。近畿大会でも53秒93をたたき出し、大会前から優勝候補の大本命に挙げられていた。「勝って当然」と思われている状態で勝つことは意外に簡単ではない。しかし、川田は「プレッシャーはなかった。自分を信じて走りました」と、事もなげにそれを成し遂げてしまった。
「予選を走った時から体も動いて、コンディションが良いなと感じていました」と川田。他の全選手が56秒台以下だった予選は、ただ1人55秒台(55秒44)で走り、ライバルたちが55秒台までにとどまった準決勝では、54秒41をマークした。いずれもトップで次ラウンドに進出する姿には王者の風格さえ漂っていた。死角はまったく見当たらなかった。
「前半から飛ばす練習」実り強さ盤石
この1年間、川田は「前半から飛ばす練習を毎日してきて、200メートルの入りは速くなった」と話す。それは記録会の結果にも表れており、「昨年は12秒4とか5だった」という100メートルのタイムが、今では12秒31へと進化。そうしたスピードアップに加え、もともと自信があるという後半の伸びが川田の強さをさらに盤石なものとした。
迎えた決勝は「(予選と準決勝の)2本を走って疲労もありました」と笑うが、「前半からリラックスして飛ばして、後半も粘れた」と、危なげないレース運びで誰よりも速くゴールへと飛び込んだ。優勝タイムの53秒92については、「大会記録(53秒30)を狙っていたので少し悔しいです」と語ったが、今大会の目標は、400メートル、800メートル、4×400メートルリレーの「3冠」。大会初日に幸先よく1つ目のタイトルを手中に収めた川田は、「明日は1日空くのでしっかり調整して、800メートルもマイルリレーも優勝できるように頑張りたいです」と、次への戦いに気持ちを切り替えていた。