全国高校郷土研究発表会(8月・岐阜)で、静岡・富士宮西高校社会研究部が最優秀賞を獲得した。馬車鉄道が地元の産業の発展に大きく貢献したことを発表した。研究では現場に足を運び、実際に目で確かめることを大切にしたという。
(文・写真 田中淑子)
明治の写真をヒントに現場へ
部員が図書館で郷土の新聞を開いて目についた「馬車鉄道」の4文字。これはどんなものだったのか──。昨年8月、そんな素朴な疑問から研究はスタートした。現3年生を中心に、インターネットや図書館などを利用して資料を集めた。
現場に出ることも大切にした。市役所に取材をし、明治時代の資料を使って、馬車鉄道の軌道をたどるフィールドワークもした。広瀬香菜さんと青木舞佳さんは「明治時代と今では道路が変わっていて、現在の地図と照らし合わせることが難しかった。当時の写真にあった松の木が今も同じ場所にあることを発見し、位置の確認ができた箇所もあります」と語る。
全国大会で最優秀賞
全国大会では「静岡の産業革命を支えた静岡初の馬車鉄道」と題し(1)明治時代、馬が軌道の上を走り、貨物や客を乗せて走った「馬車鉄道」が富士市と富士宮を結んでいたこと(2)製紙の機械や、原料となる木材の運搬に馬車鉄道が使われたこと(3)富士市で日本初のパルプが製造され、製紙業が発展したこと(4)産業の発展に伴い、町も発展したこと──を発表。足を使った地元密着の研究が高く評価され、最優秀賞につながった。
大会では発表のスタイルも工夫した。資料集め、文章作成、スライド作成などを分担し、「分かりやすく伝え、(聴衆を)飽きさせないよう心掛けました」と福田果凛さん。前部長の江原育美さんは「一つの目標に向かって、みんなで頑張りました」と日本一を振り返った。
部活データ
部員15人(男子7人、女子8人。3年生8人、2年生5人、1年生2人)。2009年に5つの部が統合して発足。ボランティア活動や、ディベートの練習なども行う。現在は2年生を中心に、11月の県研究発表大会に向けて、富士宮にあったとされる「大宮城」の研究を進める。