6月1日からの衣替えを前に、同校では5月1日から1カ月間の制服移行期間に入った。期間中、生徒はその日の気温によって冬服と夏服のどちらを着ても構わない。
「でも、冬服で行くか、夏服で行くか。その選択が難しい」と話すのは生徒会長の鎌田幸宏君(2年)。「5月は登校時に寒くても、下校時は暑いこともある。学校指定のセーターやベストを着て登下校できればよいのですが……」。残念ながら、学校は「着こなし次第では風紀が乱れる」と認めていない。
そこで生徒会は「セーター・ベスト登校推進委員会」を立ち上げ、島田圭佑君(2年)を中心に、セーター、ベストを着ての登下校の実現に向けて行動を始めた。
島田君はまず企画書を作り、着こなしのガイドラインを守ることを条件に、学校に制服移行期間中のセーター、ベストの登校を試験的に行うことを提案。承認を得ると、セーター、ベストでの登下校を知らせる保護者向けチラシを作成して配った。
試験的な着用が始まった5月1日と2日は、生徒会の仲間と共に校門の前に立ち、正しいセーターとベストの着用を登校する生徒に呼び掛けた。おかげで着こなしの違反者もなく、1カ月が無事に過ぎた。
冬の移行期間(10月)も同様の取り組みを実施し、問題なく終われば正式な認可を学校に要請するという。島田君は「まだ気は抜けないけど、必ず実現させたい」と力強く語った。(文・写真 東憲吾)