英語の長文読解は、単語力や文法力などいろいろな力が必要だ。参考書に詳しい塾講師の綿引和巳さんにおすすめの参考書を聞いた。(木和田志乃)

おすすめの英文読解の参考書は?

【苦手な人】まずは文構造を理解

―英語が苦手な人向けの、英文解釈におすすめの参考書を教えてください。

単語や英文法を身に付けても、文の構造を把握しなければ英文は訳せません。そこで文構造を把握する、いわゆる「英文解釈」の練習が必要になります。『大学入試はじめの英文読解ドリル』(旺文社)は短い文を素材に主語、述語、目的語、補語、修飾語にそれぞれSVOCMの記号を振るトレーニングを繰り返していきます。

例えば、本書にleaveという単語を使った練習が出てきます。”leave Osaka”と“leave for Osaka”は「大阪を離れる」「大阪に向かう」と逆の意味になります。文の構造が違うことに気付けば正しく訳することができるんですね。

この参考書を使っていると、文構造を把握する重要さを理解できるようになる生徒が多いです。また、どの練習問題にもどのように記号を振っていくか説明があるのが親切で、最初のページに戻ったりする必要がないのも使いやすいです。

―長文読解はどんな参考書がおすすめですか? 

『大学入試 英語長文ハイパートレーニングレベル1 超基礎編』(桐原書店)は基礎から勉強したい人向け。文構造の解説もていねいで親切です。各ユニット末にある速読トレーニングが特におすすめです。英文を語のまとまりごと、速く・正確に読む力を鍛えてくれます。他の本にも速読は載っていますが、これは特に音読しやすいレイアウトになっています。前書き部分の「私は音読をおすすめします」では、「英文読解の力を鍛えるために最も効果的なトレーニングは英文の音読である」と強調しています。音読の必要性をここまではっきりと説明している教材はあまりありません。ぜひ読んでください。

【得意な人】読解のコツをたたき込む

―では、得意な人におすすめの参考書は?

英文解釈の基礎固めが終わり、もう少し詳しく練習したい人には『英文解釈のテオリア 英文法で迫る英文読解入門』(Z会)をおすすめします。多くの英文解釈の参考書には載っていない時制、助動詞、名詞、代名詞、形容詞といった項目がありますし、英語の語順のまま理解する直読直解ができるような解説が見られます。この考えを習得することが英文をすらすら読むことにつながります。

アメリカのオバマ元大統領のスピーチやトランプ前大統領のツイートなど新しめの素材があったり、小説では文法のルールが少し変わるなどのマニアックな説明もあったりと難関大学志望者向きです。「入門」と書いてありますが、入門書とは言えません。

―英語が得意な人におすすめの、長文読解の参考書を教えてください。 

長文読解で多くの塾でも高く評価されているのが『関正生のThe Rules英語長文問題集1入試基礎』(旺文社)です。多くの長文読解問題集では答え合わせをして終わりになり、別の問題になると通用しないということも多いですが、関先生は個別の読解のテクニックを抽象的なテクニックに昇華し「ルール」と名付けています。他の参考書にはない唯一無二の長所は、この読解の「ルール」を習得できるところです。さらに旺文社の参考書は「英語の友」というアプリを使えば簡単に音声を聞けますよ。

 

綿引和巳さん 

わたひき・かずみ Seras学院学院長。1987年生まれ。三重高校(三重)、京都大学理学部卒業。同大学院理学研究科生物科学専攻修士課程修了。通信系企業にて医療情報のシステム構築に従事した後、2019年高校生専門学習塾Seras学院(大阪府茨木市)開校。これまで高校生に1000冊以上の参考書を提案。