門馬彩華さん(東京・日野高校3年)の美術作品「夢中」を紹介します。ウサギのふさふさとした質感やつぶらな瞳を画面いっぱいに描いたこの作品は、第47回全国高校総合文化祭(かごしま総文2023)の美術・工芸部門に推薦されました。どのように制作したのか聞きました。
毛並みを一本一本描く
―作品のテーマを教えてください。
この絵のモデルは、私が飼っているウサギの「チャド君」です。ある日、段ボールをかじっているところを私がのぞき見した瞬間の表情を描きました。私がのぞいていることに気づいたチャド君はそれまで以上に張り切って、うれしそうに段ボールをかじり続け、ほぼ破壊してしまいました。
紙切れとなった段ボールの残骸を見て満足そうにしている姿がとても印象的で、それがこの絵を描くきっかけとなりました。
―こだわったり工夫したりしたポイントはどこですか?
一番こだわったのは毛並みの表現です。一本一本丁寧に描写しました。その他、目の透明感を表現することにもこだわりました。
―難しかった点、苦労した点を教えてください。
ウサギの顔を前に出すために、遠近感を作り出すことに苦労しました。すべてくっきり描いてしまうと、かえってリアリティーが失われてしまいます。あえて後ろの方をぼかし、段ボールの中の「奥行き感」を表現することが難しかったです。
納得するまで描き続ける
―撮影中、印象に残っているエピソードはありますか?
美術部の活動時間内だけでは終わらずに、自宅に持ち帰って作品を仕上げたことが特に印象に残っています。絵がなかなか仕上がらないままテスト期間に入ってしまい、試験勉強と並行して作品制作をしたときは本当に大変でした。
―よい作品を作るためのコツ、上達するためにおすすめの練習方法を教えてください。
描く対象の成り立ちをよく考えながら観察することだと思います。自分が納得するまで試行錯誤し、集中して描き続けていけば、しっくりくる表現が見つかると思います。