連覇を果たした開成高校俳句部のメンバー

高校生が俳句の出来栄えや鑑賞力を競う「俳句甲子園」が8月23、24日、愛媛・松山市総合コミュニティセンターなどで開催された。優勝は東京・開成高校俳句部(2年連続8度目)。週3回の句会と夏休みの特訓が奏功した。(文・写真 藤川満)

「生」をテーマに完勝

俳句甲子園は、高校生が5人一組のチームを組み、対戦校と共通の兼題(テーマ)に沿った句を代表者が披露して討論する。俳句の出来栄えを評価する作品点と、討論内容を評価する観賞点の合計点で競う。
 決勝の兼題は「生」。開成高校は3年生3人と2年生2人で、昨年の決勝でも対戦した京都・洛南高校に挑んだ。2本先取して勢いに乗り、優勝を懸けた3本目。上川拓真君(2年)の作品を披露した。
 「踏切に 立往生の 御輿(みこし)かな」
 この句に対し、洛南高校から「躍動感を打ち消している」という追及を受けた。しかし開成高校は「『わっしょい、わっしょい』と進む御輿が、踏切に立ち往生する滑稽さを表現している」と主張。審査員の旗は開成高校に上がった。その瞬間、優勝が決定した。終わってみれば5-0の完勝だった。

特訓の成果が実る

週3回の部活動では、顧問の佐藤郁先生の指導を受け、句会を開く。6月下旬から作句に集中し、夏休み中は午前10時から午後5時ごろまで討論の特訓を続けた。
 決勝の舞台に立った日下部太亮君(2年)は「平明な言葉で奥深い表現をするのが理想。これからはチームを引っ張っていけるようになりたい」と今後の目標を語る。チームをけん引した永山智主将(3年)は「自分たちがやってきたことは無駄じゃなかった。引退しても俳句を作り続けたい」と話した。
 

■「俳句甲子園」 正岡子規や高浜虚子を生んだ松山市で、毎年8月に開催される高校生のための俳句の全国大会。主催はNPO法人俳句甲子園実行委員会。今年が17回目の開催。全国87校119チームが参加。

【TEAM DATA】
2004年に同好会から部に昇格。部員12人(3年生6人、2年生5人、1年生1人)。俳句甲子園には14度出場。優勝8度、準優勝3度を誇る。